不妊治療中、「食事に気をつけたいけど、何から始めればいいの?」そんなふうに感じたことはありませんか?
「抗酸化作用のある食事が良い」と聞いても、具体的にどんな食材を選び、どう取り入れるのか分からず、かえってプレッシャーに感じてしまうこともありますよね。
SNSやネット上にはたくさんの情報がありますが、「完璧な食事」を目指すあまり、逆にストレスを感じてしまう方も少なくありません。
私自身も不妊治療を4年間続けてきましたが、管理栄養士としての知識を活かしながら、無理なく続けられる食事の工夫をしてきました。
この記事では、「抗酸化作用のある栄養素や食材ってどんなもの?」という疑問にお答えしつつ、私が実際に意識している“ゆるく取り入れる工夫”をご紹介します。

今日から少しずつ、自分のペースで「抗酸化食生活」を始めてみませんか?
Contents
抗酸化作用って?簡単にわかりやすく解説

活性酸素って何?
私たちは呼吸をするだけでも、体の中で「活性酸素」という物質が発生します。
活性酸素はもともと、ウイルスなどから体を守る役割がありますが、増えすぎると細胞を傷つけて“体をさびつかせる”原因になります。
これが、老化や病気のきっかけになるともいわれています。
活性酸素は、呼吸のほかにも、ストレス・喫煙・紫外線・排ガスなど、日常生活のさまざまな場面で増えてしまうのです。
「体をさびさせない」ってどういうこと?
「体がさびる」とは、細胞や組織が酸化によってダメージを受けることを指します。
これを防ぐには、「活性酸素を必要以上に増やさないこと」や、「活性酸素を無害な形にすること」が大切です。
そのための力を持っているのが抗酸化作用。
抗酸化作用には、活性酸素を減らしたり、細胞を守ったりする働きがあります。
抗酸化作用の主な働き
- 活性酸素の発生を防ぐ
- 活性酸素を安定させて、反応しにくくする
- 酸化によってできた有害な物質を無毒化する
- 損傷を受けた細胞の修復を助ける
難しく考えすぎず、ちょっと気にするくらいでOK
活性酸素や抗酸化作用と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、全部を完璧に理解する必要はありません。
私自身も、不妊治療をきっかけに「食事でもできることはないかな?」と考えて、少しずつ抗酸化作用のある食材を意識するようになりました。
大事なのは、「ちょっと意識する」くらいの気持ちで日々の食事に取り入れてみること。
特別なものを食べるより、ふだんの食材をちょっと選ぶだけでも十分なんです◎
どんな食べ物に抗酸化作用があるの?代表的な栄養素と食品リスト
抗酸化作用の期待できる成分は、ビタミンC・E、βカロテンやポリフェノールなどがあります。
【ビタミンC】水に溶けやすく熱に弱い、身近な抗酸化ビタミン

ビタミンCは、体内で活性酸素の働きを抑えて細胞を守る役割があります。
肌の健康や免疫力の維持にも欠かせない栄養素です。
水に溶けやすく熱に弱いため、生のまま食べるか、スープなどで汁ごと摂るのがおすすめです。
ビタミンCを多く含む食材
- ブロッコリー
- 赤パプリカ
- 菜の花
- キウイ
- いちご
- 柿
- レモン
- じゃがいも(※加熱しても比較的残りやすい)

フルーツを習慣的に摂取していきたいですね。
【ビタミンE】脂に溶ける、細胞膜を守るビタミン

ビタミンEは、細胞膜の酸化を防ぐ「脂溶性ビタミン」で、若さを保つビタミンとしても知られています。
油と一緒に摂ると吸収率がアップします。
ビタミンEを多く含む食材
- アーモンドなどのナッツ類
- かぼちゃ
- モロヘイヤ
- アボカド
- うなぎ
- 植物油(ひまわり油、なたね油など)

私は小腹がすいたときにアーモンド入りのミックスナッツを食べることが多いです。
うなぎは特別な日にしか食べませんが、おいしいし特別感があるし、健康にもいい!と思うと一石三鳥です(笑)
【βカロテン】色の濃い野菜に多い、ビタミンAに変わる栄養素

βカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わる「プロビタミンA」で、抗酸化作用を持つ栄養素です。
粘膜や皮膚、目の健康を守る働きもあります。
脂に溶けやすい性質があるため、油と一緒に調理すると吸収率がアップします。
βカロテンを多く含む食材
- にんじん
- かぼちゃ
- ほうれん草
- 小松菜
- 春菊
- モロヘイヤ

にんじんと卵(ツナ缶をいれることも)をごま油で炒めた「しりしり」や、かぼちゃのポタージュにして食べています。
【ポリフェノール】植物に含まれる強い抗酸化成分
ポリフェノールは、植物に含まれる色素やアク、渋み、苦味の成分で、強い抗酸化作用を持ちます。
種類によって働きが異なり、美肌・血流改善・抗炎症など幅広い効果が期待されます。
熱に比較的強く、食材によっては皮ごと使うのがポイントです。
代表的なポリフェノールと含まれる食材
- アントシアニン:ブルーベリー、紫キャベツ、なす
- カテキン:緑茶、紅茶
- イソフラボン:大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)
- クロロゲン酸:コーヒー、ごぼう
- クルクミン:ターメリック(ウコン)

私はなすの味噌汁にしたり、緑茶を1日1〜2杯飲むようにしています。
どうやって日々の食事に取り入れる?ゆるく続けるコツ

難しく考えすぎないのがポイント
「今日はビタミンCが入ってるな」くらいの軽い感覚でOKです。
すべてを完璧にしようとするよりも、「いろんな食材を少しずつ取り入れてみる」ことを意識するだけで、自然と栄養バランスが整ってきます。
「これが体にいいから」とひとつの食材に偏るよりも、色や種類を意識して、楽しく食べることのほうがずっと大切。

自分を責めるより、「今日はできた!」を増やしていきましょう◎
一汁三菜にこだわらなくていい
具だくさんのスープや野菜炒め1品でも、しっかり栄養は摂れます。「毎食きちんとしなきゃ」と気負うよりも、できる範囲で続けられる形を見つけることがいちばんのコツ。
“ゆるく長く”を目指しましょう。
おすすめのメニュー紹介
野菜のポタージュ|冷蔵庫にある野菜で作れるやさしいスープ

〈材料〉(2人分)
- ブロッコリー、人参、かぼちゃ、じゃがいもなどお好みの野菜…200〜250g(1種類でも、組み合わせても◎)
- 玉ねぎ…¼〜½個
- バター…10g
- 水…200ml
- 牛乳…200ml
- コンソメ…小さじ1
- 塩・こしょう…各適量
下準備
- ブロッコリー:小房に分けて切る
- 人参・じゃがいも・玉ねぎ:皮をむいて一口大に
- かぼちゃ:皮と種を除き一口大に(※固ければ、丸ごとラップに包んで電子レンジで約5分加熱してから切ると◎)
作り方
- 鍋にバターを入れて熱し、すべての野菜を炒める(玉ねぎが透明になるくらいまで)
- 水とコンソメを加え、野菜が柔らかくなるまで弱火で10〜15分ほど煮る
- ハンドブレンダーまたはミキサーでなめらかに撹拌する(※混ざりにくければ、ここで牛乳を少し加えて)
- 残りの牛乳を加えて温め、塩・こしょうで味をととのえる
- お好みで、パセリやクルトン、生クリームをトッピングして完成!

私はズボラなので(笑)、鍋のままハンドブレンダーで直接撹拌しています。刃が鍋に当たらないようにだけ注意すればOK!
にんじんしりしり|βカロテンたっぷりの定番おかず

〈材料〉(2人分)
- にんじん…1本(約150g)
- 卵…1個
- ツナ缶(油漬けまたは水煮)…1缶
- ごま油またはサラダ油…小さじ1
- 醤油…小さじ1
- 顆粒だし…小さじ½
- 白ごま…適量
作り方
- にんじんを千切りにする(ピーラーで薄くしてもOK)
- フライパンに油を熱し、にんじんを中火で2〜3分炒める(しんなりするまで)
- ツナ・顆粒だし・醤油を加えて全体を炒め合わせる
- 溶き卵を回し入れ、軽く混ぜながら火を通す
- 器に盛り、白ごまをふって完成!
実際にわたしが続けている食事の例
日々のごはんを少し意識するだけで、抗酸化作用のある食材は自然と取り入れられます。
ここでは、実際にわたしが不妊治療中に食べている献立の一部をご紹介します。

- じゃがいもと豚肉の炒めもの(ビタミンC、たんぱく質)
- 手作りにんじんドレッシングのサラダ(βカロテン、ビタミンC)
- 玉ねぎとしめじの味噌汁(硫化アリル、食物繊維)

身近な食材でOK。野菜はドレッシングに混ぜる形でも◎

- にんじんポタージュ(βカロテン)
- タンドリーチキン(たんぱく質、スパイスで代謝アップ)
- 付け合せ)なすとスプラウト(アントシアニン、ビタミンC)

彩りよく仕上げると食欲もUP!ポリフェノールも意識◎

- 豚肉となすの味噌炒め(ビタミンB群、アントシアニン)
- 菜の花の卵炒め(ビタミンC、ビタミンE、βカロテン)
- 豆腐と三つ葉のすまし汁(植物性たんぱく質、香り成分)

炒めものや味噌汁でも、自然と抗酸化食材が取り入れられます。
まとめ|“ちょっと意識する”だけでも意味がある
「1日1つ、抗酸化食材を取り入れる」そんな小さな一歩からで十分です。
抗酸化作用のある栄養素は、
- ビタミンC(ブロッコリーや赤パプリカ)
- ビタミンE(アーモンドやかぼちゃ)
- βカロテン(人参やほうれん草)
- ポリフェノール(ブルーベリーやなす)
がんばりすぎなくて大丈夫。自分に合ったスタイルで、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。

ストレスを減らしながら、前向きに治療に取り組める食生活を、これからも応援しています!
いっしょに頑張りましょう!